チューリップチェア(Tulip Chair)は、フィンランドの建築家エーロ・サーリネンによりデザインされました。
チューリップに似ていることからその名が名づけられ、
一本脚のオーガニックなフォルムが美しく、ダイニングセットやデスクチェアとしても足元からの圧迫感を感じず、 シンプルでミニマルな空間を演出できます。
一体型ユニット
1956年にアメリカのノール社(Knoll)宛てにデザインされたもので、
当初はテーブルと椅子の脚の混雑具合を解決した、ダイニングに合うような椅子として企画していたようです。
イームズのシェルチェアの影響があってか、サーリネンは当初全面をファイバーグラス(FRP)で統一された
パントンチェアやカサリーノチェアのような一体型ユニットにしたいと考えていたようです。
しかし、
この素材ではベースを満足に支えることができず、初期のプロトタイプは座面との接合部分にストレスがかかり非常に破損しやすいものだったようです。
世界初の一本脚
その後さまざまな素材で試行錯誤され
材質の基調はアルミに変更、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)をフレームに使用し見事強度の問題をクリア。
実に5年間もの研究を経て生まれた、世界初の一本脚デザインの椅子で、現在作られている様々な一本脚の椅子の元になっています。
非常に実験的であり『産業的デザインの典型』と考えられています。
椅子それぞれのパーツにあった異素材を使い、まるで一体型ユニットのように仕上げられ
円から一本伸びるオーガニックなフォルムが美しく、ダイニングセットとしてもデスクチェアとしても足元からの圧迫感を感じずシンプルでミニマルな空間を演出できます。
現在もKnollのシンボル的な存在として
アーム付きの チューリップアームチェア や スツール が販売されています。
華奢なラインと打って変わり座り心地は意外にもどっしりてしていて、回転部分の回りは非常にスムーズ、包みこまれるような座り心地と安心感は流石です。
全面に生地が張られたオールファブリックのモデルもありますが現在Knollで販売されているかは不明です。
※リプロダクトは こちらからご覧いただけます
オークションでもよく見かけるので、当時のものが良いという方はヤフオクをチェックされると良いかもしれません。
ただ、接合部分が作りは複雑になっているので、ヴィンテージとなると修理が若干面倒です
オークションで落とす際は、念の為回転時に座面を削っていないかの確認はしておくと良いでしょう。